脳・神経系
分類と機能

神経細胞の構造と働き

- 神経細胞の単位はニューロンであり、全身にネットワークを作って興奮の伝導を行っている
- ニューロンとニューロンの接合部をシナプスといい、この接合部のすき間をシナプス間隙(かんげき)
- 軸索を伝わってきた活動電位(電気信号)がシナプスに達すると、神経伝達物質がシナプス間隙に放出され、次のニューロンに電気信号が伝わる
- 神経伝達物質として、アドレナリン・ノルアドレナリン・アセチルコリン・ドパミン(不足:パーキンソン病)・セロトニン(不足:うつ病)
中枢神経
- 中枢神経は、脳と脊髄からなる
脳の構造と働き
- 脳の構造は大脳・間脳・小脳・脳幹に区分される
- 大脳:cerebrum
- 大脳皮質(灰白質):cerebral cortexー高度な知的機能
- 大脳辺縁系:limbic systemー本能行動・情動行動
- 間脳:interbrain
- 視床下部:hypothalamusー自律神経・内分泌系の中枢
- 下垂体:pituitary glandーホルモン分泌の重要な役割
- 松果体:pineal bodyー概日リズム:circadian rhythmを調整するホルモンであるメラトニン:melatoninを分泌する
- 小脳:cerebellum
- 全身のニューロンの半分が集中し、運動機能の調節・バランス感覚の保持などを担う
- 脳幹:brain stemー生命維持に関わる中枢
- 延髄:medulla oblongataー呼吸と心臓機能を制御する
- 大脳:cerebrum

- 大脳は左右の大脳半球:cerebral hemisphereからなる
- 大脳半球は4つの葉:lobeに分けられる

脊髄の構造と働き
- 脊髄は脳と末梢神経を中継する伝達路の役割
- 脊髄は上から以下のように区分される
- 頸随:cervical cord
- 胸随:thoracic cord
- 腰随:lumber cord
- 仙随:sacral cord
- また、脊髄反射:spinal reflexの中枢でもある
髄膜(脳脊髄膜)の構造と働き
- 髄膜(脳脊髄膜):meninges は脳と脊髄を保護している膜の総称である
- 外側から
- 硬膜:dura mater
- くも膜:arachnoid mater
- 軟膜:pia mater
- 小脳テント:硬膜が内側に張り出し、大脳と小脳を隔てる構造
- くも膜と軟膜の間にはくも膜下腔:subarachnoid space があり、そこを髄液/脳脊髄液:cerebrospinal fluidが流れている

末梢神経①~脳神経・脊髄神経
脳神経:cranial nerve
- 12対(24本)ある
- 覚え方:かいでみる、動いて、滑って、3回転。イケメン、寺院、走って、ふくぜ。
固有名 | 働き |
嗅神経 | 嗅覚 |
視神経 | 視覚 |
動眼神経 | 眼球運動、縮瞳 |
滑車神経 | 眼球運動(上斜神経) |
三叉神経 | 顔面の知覚 |
外転神経 | 眼球運動(外道筋) |
顔面神経 | 表情筋 |
内耳神経 | 聴覚 |
舌咽神経 | 舌の知覚、味覚、唾液腺の分泌 |
迷走神経 | 内臓・血管の管理、喉の知覚 |
副神経 | 肩や首の筋肉の運動 |
舌下神経 | 舌の運動 |
脊髄神経:spinal nerve
- 左右に31対ある
- 馬尾:cauda equina – 脊髄神経の末端
末梢神経②~交感神経・副交感神経
- 交感神経・副交感神経による二重支配によって、臓器・器官は管理されている
- 双方のバランスが崩れると、自律神経失調症:autonomic imbalanceになる
- 交感神経:smpathetic nerve
- fight or flight 闘争か逃避
- ex. 瞳孔:散大する(沢山見たい)
- 副交感神経:parasympathetic nerve
- rest or digest 急速か消化
- ex. 瞳孔:縮小する
+α 脳の血管系
- 脳循環:crebral circulation – 脳に血液を供給する循環器系
- ウィリス動脈輪(大動脈輪) – 脳に分布する動脈系は脳の底部で輪状に結ばれている。仮に1カ所の血管が詰まっても他の血管から血液が供給されるようになっている。
脳・神経系の疾患
脳卒中:stroke / 脳血管障害:cerebrovascular accident, CVA

- 脳卒中の兆候として、FASTが知られている
- F:Face 顔がゆがむ : distoreted face
- A:Arm 腕に力が入らない
- S:Speech ろれつが回らない : slurred speech
- T:Time 時間が大事=発症してから治療までの時間が短いほど後遺症が残りにくい
髄膜炎:mengitis
- 髄膜の内側に細菌やウイルスが入り込み、炎症を起こしてしまう疾患。子供が発症することが多い。
- 発熱・頭痛・嘔吐が3大症状
- 髄液検査:cerebrospinal fluid examが診断に用いられることもある
パーキンソン病:parkinson’s disease
- 中脳の黒質の神経細胞(ドパミンを産生する部分)が減少してしまい、運動司令がうまく伝わらず、体がスムーズに動けなくなる病気
- 4大症状 覚え方:パーキンさんは新鮮な勤務姿勢。
- 振戦 新鮮な
- 筋固縮 勤
- 無動 務
- 姿勢保持障害 姿勢
筋萎縮性側索硬化症:amyotropic lateral sclerosis (ALS)
- 脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える運動神経細胞が冒される病気
- 筋肉自体の病気ではなく、筋肉を動かす運動神経が障害を受けることで、呼吸に必要な筋肉が痩せて呼吸麻痺を引き起こす
- ルー・ゲーリック病:Lou Gehrig’s diseaseとも呼ばれる
てんかん:epilepsy
- 大脳の神経細胞に突然激しい電気的な興奮が発生することで、てんかん発作:seizure生じる
- 脳波検査:electroencephalography/EEGによって僅かな電流を記録し、診断する
- 抗てんかん薬:antiepileptic drugによって、大脳の過剰な電気的興奮を抑えて治療される
精神系の疾患
神経症:neurosisis / 不安症:anxiety disorder
- ストレスからくる心の障害
- 以前はノイローゼと呼ばれていた
- ~phobia – ~恐怖症 も含まれる
- 高所恐怖症:acrophobia アクロフォビア
- 先端恐怖症:aichmophobia エイチィモフォビア
- 水恐怖症:aquaphobia
解離性障害:dissociative disorder
- 自分が自分であるという感覚が失われ日常生活に支障をきたす(自分の中に自分でないものを感じる)
- 多重人格など
うつ病:depression
- 気分障害の一種であり、精神的・身体的ストレスが重なることでおこる
- 何らかの原因で、神経伝達物質のセロトニン・ノルアドレナリンの量が減って情報がうまく伝わらないために症状が現れる
双極性障害:bipolar disorder ※polar 極
- ハイテンションで活動的な躁状態と、憂鬱で無気力な鬱状態を行き来する病気
- 以前は躁鬱病:manic depressionと呼ばれていた
- うつ病とは異なる病気である(多くの症例が寛解に至り、病前水準の社会生活を送れるようになる)
統合失調症:schizophrenia スキッゾフリーニィア / spilt mind
- 幻覚・妄想などの陽症状と、気分が落ち込む陰症状がみられる病気
- 以前は精神分裂病と呼ばれていた
- 双極性障害との違いは、幻覚・妄想がみられること
認知症:dementia
- 後天的な脳の障害によって一度正常に発達した知能が不可逆的に低下した状態である
- アルツハイマー病:Alzheimer’s diseaseは認知症の60%を占める
- βアミロイドが脳全体に蓄積することで、健全な神経細胞を変化・脱落させ、海馬:hippocampusを中心に脳全体が萎縮してしまう
- 以下のような症状が見られる
記憶障害 | memory loss |
見当識障害 | disorientation |
認知機能障害 | cognitive dysfuncion |
徘徊 | wandering |
健忘症・記憶消失 | amnesia アムニィージャ |
幻覚 | hallucination ハルシィネーション |
幻聴 | auditory hallucination |
妄想 | delusion デリュージョン |
その他の精神疾患
- 強迫性障害:Obsessive Compulsive disorder (OCD)
- 適応障害:adjustment disorder
- 日常生活でストレスにうまく対処することができずに、抑うつや不安感などの精神症状が現れて、日常生活に支障をきたす病気のこと
- 情緒面:抑うつ気分・不安感・感情の高ぶり
- 行動面:万引き・摂食行動の異常・遅刻・無断欠勤
- 摂食障害:eating disorder
- 拒食症:anorexia
- 過食症:bulimarexia
- 行動認知療法:cognitive behavior therapyが治療に広く用いられている
コメント